名 称
コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル
英名:Inter-institutional Panel on Population Management of the Oriental White Stork
略称:IPPM-OWS
設立の経緯
かつてコウノトリは日本各地に生息していました。しかし、1971年に野生最後の1羽が保護(のちに死亡)されたことにより、国内の繁殖個体群は絶滅しました。その後、1988年に東京都多摩動物公園が飼育下で初めて繁殖に成功し、域外(飼育)個体群は順調に数を増やしていきました。2005年には、域内(野外)個体群の復活を目的に、兵庫県立コウノトリの郷公園により再導入(放鳥)が開始されました。2007年には野外ではじめて繁殖が確認され、国内の野外個体数は徐々に増加し、現在(2021年4月1日現在)では217羽のコウノトリが生息しています。しかし、域外・域内個体群の維持・発展を図るためには、「遺伝的多様性の維持」や「生息環境の整備」など様々な課題を解決する必要があります。IPPM-OWSは、コウノトリの保全を全国的に進めていくにあたっての課題を共有し、連携して課題の解決にあたることを目的に、兵庫県立コウノトリの郷公園、東京都多摩動物公園、(公社)日本動物園水族園協会(以下「JAZA」という)生物多様性委員会が中心となり、コウノトリの保全に取り組む機関や施設に参加を呼びかけ、2013年に設立されました。
組 織
IPPM-OWS は、コウノトリの飼育施設や野生復帰事業に取り組む機関・施設等で構成され、総会、事務局、域外保全作業部会、及び域内保全作業部会を置いて活動しています。
また、オブザーバーとして関連する国の省庁が参加しています。
総会 | IPPM-OWS全体の運営にかかわる事項を決定します。 |
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事務局 | IPPM-OWSの運営の実務を担っています。 |
域外保全作業部会 | コウノトリの飼育施設を中心に構成され、飼育下の個体群管理計画の策定などを担っています。 |
域内保全作業部会 | コウノトリの野生復帰事業に取り組む機関・施設を中心に構成され、生息地拡大に向けた取り組みを行っています。 |
沿 革
2013年12月 | 兵庫県立コウノトリの郷公園、東京都多摩動物公園、JAZA生物多様性委員会など21機関・施設で設立。 |
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2015年11月 | コウノトリ保全フォーラム「野生復帰10年、そして新たな旅立ち―全国へ、そして世界へ―」を東京で開催。 「東京宣言2015」を採択。 |
2016年4月 | 公益信託サントリー世界愛鳥基金から「コウノトリの域外および域内個体群の保全に関する活動について」という事業内容 で助成をうける(~2018年度)。 |
2016年11月 | 千葉県我孫子市で開催されたジャパンバードフェスティバルに出展。 参加64団体の中で優秀な展示に対して贈られる「バン」賞を受賞。 |
2016年12月 | コウノトリ国際保全シンポジウム「コウノトリの生息域拡大に向けて」を東京で開催。 2015年よりコウノトリの放鳥を実施している韓国から招聘した研究者2名が、韓国での野生復帰の現状について講演。 |
2017年3月 | 国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)連携事業第10弾として認定を受ける。 |
2018年2月 | コウノトリ保全セミナー2018「コウノトリ野生復帰の現状と展望」を大阪で開催。 |
2018年3月 | 公益信託サントリー世界愛鳥基金の助成金により「コウノトリの野生復帰の手引書」を発行。 |
2018年11月 | コウノトリ保全セミナー「あなたの街にもコウノトリが!? 見えてきたコウノトリ保全事業の課題と展望」を東京で開催。 |
2020年2月 | 環境省生物多様性保全推進交付金の助成を受け「コウノトリ保全方針」を策定。 |
2020年4月 | 公益信託サントリー世界愛鳥基金から「東アジア地域におけるコウノトリ保全ネットワーク形成事業」という事業内容 で助成をうける。 |
2022年1月 | コウノトリ保全セミナー「日中韓のコウノトリの現状と課題」をオンラインで開催。 |
活動目標
IPPM-OWSの目的は、コウノトリの生息域外・生息域内の個体群保全に必要な課題を参加機関・施設間で協議し、その解決策及び各種支援を実行することです。この目的を達成するため、「東京宣言2015」を2015年12月に採択し、これを2016年から2018年の3年間の行動目標として、活動を行いました。
【東京宣言2015】の全文はこちらまた、2020年2月には、関係省庁(文化庁、環境省、国土交通省、農林水産省等)、地方公共団体、飼育施設・傷病鳥獣救護施設等の関係機関と協力しながらコウノトリの保全をさらに進めることができるよう、環境省生物多様性保全推進支援事業の助成を受け、「コウノトリ保全方針」を策定しました。
【コウノトリ保全方針】の全文はこちら支援企業・組織
IPPM-OWSの活動は、2016年から2018年、2021年に公益信託サントリー世界愛鳥基金の「鳥類保護団体に対する活動助成部門」から助成を受けています。
公益信託サントリー世界愛鳥基金IPPM-OWSの活動は、2017年に「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」の連携事業として認定されました。
国連生物多様性の10年日本委員会お問い合わせ先
IPPM-OWS全般、野生復帰や野外のコウノトリに関するお問い合わせ
兵庫県立 コウノトリの郷公園 |
〒668-0814 豊岡市祥雲寺二ヶ谷128 TEL 0796-23-5666 |
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動物園で飼育しているコウノトリに関するお問い合わせ
東京都多摩動物公園 (飼育展示課 野生生物保全センター) |
〒191-0042 東京都日野市程久保7-1-1 TEL 042-591-1611 |
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